『ハッカー寺子屋』の原点

社長がハッカー寺子屋を自分たちに依頼した理由は、自分のデータハウス時代の編集デスクに遡ります。
社長はデータハウスに来社した人たちを自分の編集デスクに連れてきては「こういう変な人がいるんですよ」と嬉しそうに自慢していました。
社長の狙いは、このデスクにキテレツな演出を加えた「おかしな見世物小屋」のような展示にすればよいのだと考えました。

サンプラーとレコーディング機器ばかりの編集デスク

しかし、社長も社長室周りをおかしな人形で対抗していました。

オカマの理容師とマリリンモンローの人形

社長が加湿器をつけると自分は除湿機をつけたり、夏場は冷房を暖房に切り替えてから帰ったりと多忙な日々でした。
自分の担当はハッキングとドラッグの専門書籍でしたが「DJやらDTMやら、集め倒した機材をもとに2000ページ越えの他社がやらないようなイカつい超専門書を自分で書いてしまおう」というところから、年を追うごとにどんどん過激なデスクになります。

サンプリング用のドラムマシン

腐りきった麦茶や液状化した弁当など危険なもので埋め尽くされたPC用デスク

3台使いのHOUSERにも対応可能なゲラ用デスク

自分でもなにを持っているのかわからない機材群

ある意味、データハウス編集者の悪しき伝統を受け継いでいます。

楽器や機材は買ってもほとんどが分解から始まり、モジュールの回路を眺めながらパーツを好みのものに改造します。

美しいモジュールたち

二束三文のジャンクをオークションで買い漁って蘇生させたりなど、同じ機材が何台もあるので部品には困らないデスクでした。

BOSEの11.5cmドライバのエッジを換装したところ

週末はRAVE三昧だったのでロータリー式のDJ MIXERにカセットコンロをつなげてRAVEでガス爆発が起こりそうな無敵のたこ焼き屋キットなども考えていました。

RAVEパーティ用たこ焼きDJ MIXER

そんなこんなで、このおかしなデスクを形にしたのが『ハッカー寺子屋』かもしれません。

【BGM】THE KLF - 3AM Eternal(Klonk Blip Avery Trip) → http://goo.gl/yHhGYl

産まれてきてごめんなさい。
気合い！ふぉーーー( ＾ω＾)

『ハッカー寺子屋』製作後記

依頼日から30日、3万円以内の低コストで練習がてらにやれるだけやってみました。
実におもしろかったですし、自分たちの当初に目的としたアイデアはクリアできたように思えます。

ほとんどのものが時代遅れの「化石」であり、平たく言うと単なる「ゴミ」です。
「ゴミ」は普通に生活している人にとって意味がないものだから「ゴミ」なのです。
「ゴミ」には「ゴミなりの人生」があるのです。
その「ゴミ」が人々の目に触れて楽しさを感じてもらえたら本望です。

今回の作業は『まぼろし博覧会』の「昭和」をテーマとしていたのでレトロな話題ばかりとなりました。
自分はデータハウスで多数のハッキング書籍を作ってきましたが、そこで様々なハッカーと呼ばれるスペシャリストたちと出会いました。

セキュリティイベントで即売を行った自分の編集書籍

振り返ると、UGTOP、HackJaponaise、BLACKOUT、料亭牡丹、backr、1194番地、そしてDEFCONZERO……挙げるとキリがありませんが、こうしたWebサイトが代表格であったと思います。
そのような方々と出会って得た知識をもとに「歴史的資料」という意味も含めて、IPUSIRON氏と自分がもっている「ハッカー」のイメージを「形」として残せたので満足しています。

しかし、飲み屋にいる酔っぱらいのおっさんのように回顧録を語っていても仕方がありません。大事なのは「現在」と「これから」です。
次回は時間をかけ、材料を揃えて本格的な「気味の悪い動くロボット」などにチャレンジしたいと考えています。

特に「エイリアン」「プレデター」「ターミネーター」「バイオハザード」「マトリックス」「キューブ」といったキモキモSF映画のエグいシーンばかりを抽出したエフェクトを機械的に再現したいです。

これらが自分たちの構想している『くるくるぱーなサイバーパンク』の全体のテーマです。
幸いにもレーザーやプラズマといった分野では頭のおかしい仲間がたくさんいるので、その方々の力を借りながら進めたいと考えています。

まずはレーザーです。作るよりブツを揃えてリミッターを外したほうが早いです。
怪しい集団で海外の飲み屋に行ったときに破壊祭りをしたときのものです。

ロボットの目からレーザービームを発射したい

こちらはテスラコイルという機器からプラズマを発生させるニコラテスラが発明した装置を薬試寺教授が応用したものです。

10年くらい前から映画のショーやイベントなど一緒に活動させてもらっています。

テスラコイルのエフェクトは薬試寺教授の専用Webサイトを準備しているので、そちらで直接、受け付けを行う予定です。

ロボットの指先からプラズマビームを発射したい

普通のものってつまらないです。子供がびっくりするような世界を作りたいのです。

そして、現在はIPUSIRON氏と2人でインターネットを軸にしたキテレツなおもしろコンテンツの製作を進めている最中です。
『ハッカー寺子屋』と同じコンセプトで、おもしろな不可能を現実の形にしていきたいと考えています。
また、営利、非営利にかかわらずキテレツなおもしろコンテンツの企画も受け付けています。
特に「非営利で人の役に立つ目的」に関しては費用なども柔軟に対応しながら請け負います。
こうしたキテレツなおもしろネットワークを広げていきたいので、興味ある奇特な方がいましたら電子メールでご連絡ください。

参考までに2004年に初めて自分たちが開催したキテレツなおもしろイベントです。
こういうことも進めたいと考えています。

■UNDERGROUND JOURNAL → http://ruffnex.oc.to/uj/
■『乱用薬物密造の化学（薬師寺美津秀 著）』（データハウス）→ http://goo.gl/srZCXH

レーザー、プラズマ、PAレンタルとセッティングなどキテレツなおもしろエフェクトやパーティ、カンファレンスなどの依頼も請け負う準備をしているので、そちらもお問い合わせください。

【BGM】ダメよ～ダメダメ - 日本エレキテル連合 → http://goo.gl/TbfCyn

おれたちは道なき道に線路を作るぜ！
気合い！ふぉーーー( ＾ω＾)

まぼろし博覧会へのアクセス詳細→http://goo.gl/YvtKvh

第2弾・3日目：『ハッカー寺子屋』完成

鳥のさえずりで目を覚ますと朝の5時です。
梅干しのおにぎりを食べて、すべての展示を完了させるため最後の作業に向かいます。
ここまでの作業でやりたい形は達成できました。

ハッカー寺子屋

撤収の準備をしていると箱一杯に入った大量のジャンクパーツが見つかりました。
そういえば、大物の展示に追われて仕上げとなる床の展示を完全に忘れていました。
ラーメンの作法の「チャーシューは最後に食べる」という肝心の儀式が終わっていないというところです。

奇声を発しながら狂ったように床にジャンクパーツをぶちまけてぐったぐたにひっ散らかします。

床はゴミだらけの横着者

作業時間は数分。これがしたかったのです。
現在、街中で使用すると違法とされるブツがいくつか混ざっていますが、あくまでも資料としての展示なので大義名分はあるかと思います。

そんなわけで、ついに完成しました！
完成した『ハッカー寺子屋』を紹介します。

まずは入り口です。

来館者側から見たところ

ロボットリーマンの末路みたいな死にかけ病気人形が出迎えてくれます。

死にかけ病気人形

中央には半笑いした三億円強奪犯の電動式指名手配書です。

三億円強奪犯の電動式手配書

右上には携帯電話電波妨害装置です。
ボタンを押している間だけ半径5メートル程度の範囲にある携帯電話を圏外にします。

携帯電話妨害装置

さらに右上を見上げるとオブジェ化したヤバい感じの装置があります。なんの装置だったか忘れましたが大丈夫だと思います。

なんだかわからないがヤバそうな装置

内部を覗くとレゲエなハカーがJPNICのrootを取って「ふぉーーー！」と叫んでいる瞬間です。
そして、巨大な基盤の壁、緑の公衆電話、積み上げた本と空き缶が崩壊する瞬間です。

JPNICのrootをとってテンション↑↑↑

右の壁はDJ不可能なDJブースです。

本当は天井につけたかったDJブース

左の壁は自分たちの脳内の頂点にいるハカーの脳内です。たぶん。

争いが嫌いなrootzero氏は藁人形に五寸釘を打たない

メインのキーボードもガッツリとマカ～しています。
散らかしているわりに抜いたパスワード、ログなど他人の個人情報が入ったディスクだけは几帳面に扱います。

ハッカーにとって個人情報とlogは命

床はグチャグチャでなにがなんだか説明ができないので自分で考えてください。

Apple純正の電卓

鍵開けは鍵を使わずピックで行う

ソフマップ、マック、カップラーメン、炭酸飲料

自分たちは敵対するプロのハッカーに狙われているため、彼らのアタックに備え「ハッカー撃退スプレー」も2本用意しています。これでセキュリティレベルが最強となります。

ハッカー撃退スプレー（売り切れ）

MIDIプロトコルでデータを発信する装置です。右端にスピーカーが内蔵されていましたが邪魔なのでのこぎりでブッた切っています。

誰もが買ったMIDIキーボード

クロックアップした当時のMacintosh最高峰機種とされたQuadra800です。当時はHackintoshともじられていました。

価格は忘れたが高価だったQuadra

ブルーボックスです。Appleの創始者Steve Jobsといった一部のハッカーたちしか扱えなかった代物です。

なんちゃってブルーボックス

天井を照らすレーザーにトラブルが起きたので、館内に落ちていた植木鉢のカゴを取り付けました。倒れかけの空き缶は毎日飲んで気合いを入れていたRedBullです。

横着者が引き起こす崩壊の瞬間

看板です。社長の自作です。普段はやらないだけで、本気を出したらなんでもやってしまうおかしな人です。

社長がアナログ的な手法で作った看板

最後はデジタルを越えた精神世界と超異常現象のネットワークの美しい風景です。

美しいハッカーの世界

これで「キテレツハカーわーるど」が完成しました。

最後になりますが、このような場を提供してくれたデータハウスの鵜野社長に感謝します。

hehehe...

【BGM】Aretha Franklin - Think → http://goo.gl/SvcLGs

おれたちは永遠のチャレンジャーだぜ！
気合い！ふぉーーー( ＾ω＾)

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第2弾・2日目：いよいよ！最終日

泣いても笑っても今日中に完成させなければなりません。
念のために朝5時起床、5時30分着で作業に向かいます。
まだ、薄暗いですがなんとか作業はできそうです。

まずは入り口を塞いで覗き窓を取り付ける作業からです。
基礎から傾斜している小屋を悪戦苦闘で誤魔化しながらどうにか扉式にして塞ぐことができました。

左側の岩が面倒な壁も完成

次にIPUSIRON氏が電気の配線をしている間に携帯電話妨害装置の取り付けなどガンガンに進めたいところですが、なにせ狭い場所で小屋には1人しか入れないため気合いだけでは作業が思うように進みません。

ナニやってんだよ～♪電気配線なんかなんでもいいじゃねえかよ～♪早く帰ろうよ～♪（by.土屋アンナ）

そして外側の壁の取り付けが終わり、透明なアクリル板を通して室内を覗いて愕然としました。
背後から照らす太陽光が逆光となり、室内がボヤけてしまい見えにくいのです。

アクリル板を通すとボヤける窓

材料が手元にないので、とりあえずはこのままにしておき、オープン前にアクリル板を黒い金網に交換することにしました。

次に人形の設置です。天井からピアノ線で腕を吊り上げて固定する作業となります。

人形をくぐってピアノ線を通して仕上げ

「うわあああああああああああーーーーー！」
作業中に人形の手首を落としてしまい、指先が折れてしまいました！

ほとんどの指が折れる

ヘタ売って極道に指をエンコされたチンピラハカーという設定にします。

そうこうしているうちに日も暮れて辺りは薄暗くなり村崎百郎館が一段落した様子でお手伝いの方々がゾロゾロとバスに向かい始めています。
IPUSIRON氏もタスク完了ということで合流して帰路に着きました。

もう、この時点で慌てて工具類を片付けて荷造りしてもバスに間に合わないと思い、もう1泊してのんびりと帰ることにしました。
明日は昼までに片付けて、たっぷり撮影したいと思います。

【BGM】Parliament - Flash Light → http://goo.gl/NeMO2U

明日は本当の本当に帰るで！
気合い！ふぉーーー( ＾ω＾)

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第2弾・1日目：またもや劣悪な気候の初日

前回の作業だけでは完了しなかったので再挑戦の運びとなりました。
今回、第2弾の作業は3月13日から14日の2日間ですべての作業を完了させなければなりません。

ところが、この日は夕方から関東、中部、関西などの太平洋側がまれに見る突風と豪雨ということで、気象庁では台風並みとの発表がありました。ふぇ～。
雨漏りのする作業スペースでこれまた波乱の作業を想定しなければなりません。

IPUSIRON氏が始発で向かっているので、自分は人形の最終設置に向けての準備を進めます。
とりあえず、社長の仕切る変態アダルト領域に人形を置いてドレッドヘアーのウィッグに枯れ葉をまぶし、透明ラッカーをかけて汗臭そうなホームレス的な雰囲気にしたいのです。

ホームレス風ハッカーの人形

汗臭そうにはなりませんでした。わらい( ＾ω＾)
それにしても社長の変態展示物のなかに置くと、派手にしたつもりでも地味に見えてしまいます。

人形に取り付けるものは次の通りです。

人形に取り付ける各種具材

左から順に、ショルダー携帯電話、衛星携帯、普通の電話機、スマホのモック、ポケベル、iPod、携帯電話電波妨害機となります。

しかし、社長のコレクションはすごくて、この人形とその展示方法もあほです。

パッションな表情をするバラバラ死体人形

この弾けた表情が素晴らしいです。
しかも人形をカゴに入れて「はい！終わり終わり！」と社長もノリノリで作業を進めています。

そして、額縁の文字を「ハッカー道」から「r00tzer0」に修正しようということになりました。
最初に塗った「ハッカー道」の文字が見える感じに白ペンキをいい加減にオーバーダブします。

このままでもおもしろそうな額縁

カットした紙を貼り付けて黒のスプレーでぷしーします。

これもそのままでもおもしろそう

一般の来館者は抽象的な言葉より符号のほうが怪しく感じるのではないかと。さらに文字も粗い感じにしてみました。

A.D.200XとBlackHatのメンバーパスをぶら下げたrootzero氏の記念遺影

もし、rootzero氏が見たとしたら「あー、おいおいおい！なんでよ。やめれ(;´Д`)」と言うでしょうけど、やったことは仕方ないので「これでヨシ！」とします。

そして、いきなり社長に「入り口の手前の岩の部分の展示もやっておいて」と相変わらずの無茶ブリをされます。

わし「なにをしたらいいのか？時間がないですよ」
社長「マネキンを持ってくるから寝かせて布団をかけてみたら？すぐにできるでしょ」
わし「それなら1秒あれば十分ですね( ＾ω＾)」

モノホンのマネキンなので両腕があるとつまらないです。
まずは片腕をポイします。おいおい( ＾ω＾)
昔のAppleのリンゴシールを肩に貼ってタトゥーにして、おっぱいはマジックでうさぎマークを描いて、お面の付け根を隠すためににSCSIケーブルを巻いてみました。

すると、厳密なIPUSIRON氏が無表情の顔をしながら静かに怒り出します。

いぷ「HDDを取り付けてロボットみたいにしたいけど…」
わし「また時間がかかるやんか！」
いぷ「タスクは終わらせていかないとだめでしょう」
わし「ほんだら、わしは腕をケーブルでぐるぐる巻きにするから速くやって！1秒！」

ということで、まさにIPUSIRON氏との合作で適当に作り上げたのがこれです。

虚弱体質のスーパーハカー

ぎゃはははははー！なんだか、よくわからないですが、死にかけの病人みたいになりました。
狙い通りです！うそ( ＾ω＾)

夕方になると予報通りの天候となり、豪雨と突風が吹き荒れだしました。
そんなこんなでアッと言う間の1日目の作業が終わりました。

社長が「これはひどい」ということで自動車で宿まで送ってくれました。
宿に帰った途端に2人ともグッタリ。温泉に浸かってカップラーメンを食べてすぐにダウンでした。

【BGM】Herbie Hancock - Ready Or Not → http://goo.gl/sbCgaX

明日で完成させるで！
気合い！ふぉーーー( ＾ω＾)

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